サントリーさんのシェリー樽の調達について
昔 :スペインからスポットで購入
現在 :スペインで製樽し、その樽にシェリー酒を入れてシーズニングした樽を購入。(樽の鏡板にサントリーさんの焼印 が押されている: ”KTB” と)
将来 :日本でスパニッシュオーク材を製樽し、内面処理やシーズニングの方法をいろいろと試してみたい、と言われる。
スペインでは、スパニシュオークは、現地でのルールに基づいて伐採される。
伐採時期は、11月から3月までの間である。(この期間と言うのは、言われなかったが、職業柄こういうことなのだと理解した。すなわち、木の休眠期間なのである。大きな木の移植なども、大概が木の生長が止まる休眠期間に実施する)
樽材と使用される部分は、地上より約3mくらいまでだそうである。なぜならば、3m以上だと木のねじれがある場合いが多く、樽材として使用が出来ない、と言うことである。それ以上の部分は、家具や建具に利用される。
シェリー酒は、現在スパニシュオークで熟成されているのではなく、アメリカンオークで熟成されている。
しかしながら、ウイスキー業界は、シェリー酒でシーズニングされたスパニシュオークにこだわっている。
この理由について、今回は、大変貴重な経験をさせていただいた。
山崎蒸溜所で2005年蒸溜されたニューポットをスパニッシュオークの樽に入れたものでの比較である。
すなわち、シェリー酒でシーズニングした樽と、シーズニングをしていない樽とでの興味深い比較である。
結果、ウイスキーの色は、どちらもほとんど同じであるが、香りの点で違いがあった。
シーズニングした樽では、未だ若いにも関わらず、ゴム臭や干し葡萄の香りを感じた。が、シーズニングしていない樽のものには、それらを感ずることが出来なかった。
この体験で、スパニシュオークが、なぜシェリー酒でシーズニングする必要があるのか理解できた。このような体験は、単にメーカーさんに勤めているだけでは出来ない、単にウイスキーが好きだからと言うだけで体験できない、すごく貴重な体験をさせていただいた。
つづく